人気ブログランキング | 話題のタグを見る

10132007




10132007_a0016637_5521376.jpg












誰よりも深く踏み込むのだけど、距離がある。この振る舞い方は本当に真似ができない。だからこそ深く考えていかなければいけない。ジュネは演劇について書いたあるエッセーのなかで「行動にも文法というものがある、気をつけたまえ独学者諸君」と言っていますが、ジュネの晩年の政治参加を見ているとまさにそれを体現していると思うんですね。たとえば、パレスチナ人がヨーロッパで反ユダヤ主義であるとかいろいろ言われる、そのすべての非難を自分は引き受けてもいい、と、そこまで踏み込んでいくんだけれど、しかし、パレスチナ人と一体になるのではない。その身のこなし、距離のとりかたは実に見事で、ある意味でジャコメッティの彫刻について彼自身が言っている、非常に親しみを覚えるのだけれど限りなく遠いという、それと同じ距離を持ちつつかかわっていったという感じですね。(鵜飼哲)


ほどよい愛情やほどよい友情というのは必ずや閉じた共同体をつくってしまう。(中略)そういう見方がジュネの中にあったんだと思うんです。だから、本当の愛、本当の忠誠というのは、そういうものを裏切ることなしにはあり得ない、裏切ることがそのまま愛であり、そのまま忠誠である、というふうな、非常に逆説的な点にまで突き進んでいくわけですね。(浅田彰)


ジャン・ジュネ-裏切りとしての愛
20世紀文化の臨界
浅田 彰 / / 青土社
ISBN : 4791758110
by poca_pocari | 2007-10-13 00:00 | 10/2007
←menu